RANS – μ

中性子塩分計RANS-μの開発経緯

開発経緯
  • 塩害に対する非破壊検査装置の早期実用化の要請
  • 「中性子によるコンクリート塩分濃度非破壊検査の技術研究開発」(R2~R4年度 国交省新道路技術課題)の採択

共同研究:オリエンタル白石
研究協力:土木研究所+ニュートロン次世代システム技術研究組合(T-RANS)
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装置の要求性能

コンクリート内の塩分を現場(屋外)で非破壊で計測し、その場で分析可能

  • 橋梁点検車に搭載可能なポータブルな装置
  • 誰でも使用可能(特別な資格不要)
  • かぶり7cm、1時間以内、塩分濃度1kg/m3、塩分濃度分布(3点)の取得
R5年度より実用化 国土交通省「点検支援技術性能カタログ(橋梁・トンネル)」に申請し、掲載されること
 →2023年3月31日に掲載

中性子塩分計RANS-μの特徴

  • 中性子誘導即発ガンマ線を利用した複数元素同時分析
  • 物質中の透過力が高い中性子とガンマ線を利用
        →コンクリート中の塩分を非破壊で計測可能
  • カリフォルニウム線源(RI中性子源、表示付き認証機器)を利用
        →小型化を可能とし、ポータブルな装置
  • 深さ方向の塩分濃度分布を3分割で計測
  • 誰でも使用可能 (特別な資格不要 ※放射線取扱に関して)
  • 計測前処理が不要 (ゴミが出ない。同一計測箇所の経時変化が追える。)

塩分濃度分布取得の原理

※”濃度検出装置と濃度検出方法” 特願2020-084238

「塩素由来の即発ガンマ線の強度比の変化」

真空中であれば、ガンマ線の発生した場所(深さ)により、検出器までの距離により到達量は減少するが、
塩素由来の3本のガンマ線(1165、1951、6111keV)の強度比は変わらない。

しかし、コンクリート中であれば、コンクリート中のどこで発生したかにより、ガンマ線エネルギーの違いにより透過率が異なるため、
表に示すように強度比に変化が生じる。この強度比の変化を利用して、深さ方向に塩分濃度分布を導出する。

中性子塩分計RANS-μの構成 ※筐体モデル1

バケット内に手渡しで組立可能なように、10kg前後のパーツに分割。

工具無しに組立可能。

実橋梁計測結果

実施場所 測定部位 時期 RANS-μ
測定結果
測定時間 参照結果
(電位差滴定)
室内
(理研中性子工学施設内)
0, 1.0, 1.8, 3.0, 6.0kg/m3に調整したコンクリートプレートを用いた、塩分検出感度や検量データなどの取得
秋田県荒磯大橋
(土木研究所敷地内)
桁下端の側面 2021年12月 5.7 kg/m3 ※1 15分 5.72 kg/m3 ※2
新潟県能生大橋
(土木研究所敷地内)
桁下端の側面 2021年12月 3.1 kg/m3 ※1 30分 3.27 kg/m3 ※2
福島ロボットテストフィールド
(福島県南相市)
耳桁下面
(3kg/m3塩分含有サンプル貼り付け)
2021年12月 2.9 kg/m3 ※1 1時間 3.0 kg/m3
宮城県綱木こ道橋
(宮城県仙台市)
桁下面 2022年9月 1 kg/m3以下 30分 0.11 kg/m3 ※2

※1:深さ0~9cmまで濃度一定とした推定 ※2:平均値

実橋梁計測@2022年12月
安家大橋(岩手県)での塩分濃度計測試験

2023年4月以降の実橋梁計測

2024年11月の時点で、オリエンタル白石様、大日本ダイヤコンサルタント様、福山コンサルタント様、東北地整様、大田区様経由など、実橋梁計測を行った。 ※合計:1都16県51橋142ヶ所。

脱塩工事前後の定点塩分観測、塩害点検、新技術の試験、船でアクセスしての計測試験など。

上部工:主桁下面・側面、桁フランジ下面・側面、地覆側面、張出し床板下面、ウェブ、箱桁下面・内部など

下部工:橋台、橋脚

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